島の人も、観光客も、
誰もが心地よく過ごせる、癒しの空間。
大島テラス
Background
島の人と来訪者をつなぎ、
島のシンボルとなる場所を。
四国・愛媛県の西端、佐多岬半島の付け根に位置し、
みかんと魚が美味しい街として知られる八幡浜市。
市の中心部から南西の沖合約10kmのところに、
市唯一の有人島「大島」があります。
現在島民は約250名。昔ながらの漁村風景が残り、
ゆったりとした時間が流れる離島です。
島へは八幡浜港より1日3便運行するフェリーで
約20分ほどでアクセスが可能ですが、
これまで来島者が食事や休憩で利用できる施設は
ありませんでした。
日帰りで楽しめる離島として、観光客の増加が期待される中、
島民と来島者が交流できる施設が建設されることとなり、
デザイン設計のコンペが実施されました。
Concept
島民が自分たちの居場所と感じられ、
来島者の記憶に残る建築に。
建築コンセプトを考えるにあたり、実際に大島を訪れました。
そこで発見したのは、
・龍神様が棲むと伝わる「龍王神社」があり、
島民にとって大切な存在であること。
・島には島民が使用する生活道と
車や自転車が通る海岸沿いの道の二つがあること。
・立地するのは船着場からすぐ目につく場所であり、
視認性が非常に重要であること
上記を建築に盛り込むことが本案件ではキーになると考えました。
視認性を確保するにあたり思い付いたのが「やぐら」。
龍神様にちなみ、龍の鱗をモチーフにした「龍王やぐら」を
設計することにしました。
また、来島者が憩うだけでなく、
大切なのは島民の方達が集まりたくなる場所になることだと考え、正面の入り口だけでなく、建物の裏側にも入り口を設計。
島民にとっての正面を作ることで、
みんなが居心地の良い空間になることを目指しました。
Contents
しまカフェ
海に面して大きく開かれた「しまカフェ」は開放感にあふれ、
訪れる人たちに癒しを与えてくれます。
ここでは、島のお母さんたちが作るアジフライ定食や釜飯、
島カレーなど島の恵みがたっぷりの料理や
淹れたてのコーヒーを味わうことができます。
また施設内には島内の観光スポットの案内や、
特産のスジ青のりを使った商品など、
島の特産品を購入することもできます。
大島の旅は、ここから始まります。
竜王やぐら
船で島に着くとすぐに目につく大島テラスのシンボル。
ここから見渡す海の景色は爽快です!
コーヒーを飲みながら一息つけば、
のんびりとした島時間が心に流れます。
2つの正面
山側の空間には、
落ち着いた日常の島の風景に馴染む空間を
デザインしました。
ベンチを設置することで、
施設が開いていない時間でも気軽に集まり、
井戸端会議が弾むような場所になることを意図しました。
島カード
本案件では、建物のデザインだけではなく、
実際にオープンしてからの交流のデザインも
コンペ時に提案しました。
大島の魅力は、何と言っても島の人たちです。
その人となりが見え、
また観光スポットも紹介できるような仕掛けを考えました。
そこで提案したのが「島カード」。
島の人たちのポートレイトと共に、それぞれの人たちの
大島のオススメの場所を紹介するカード型の観光マップです。
この島カードは、東京・日本橋でまちづくりを行う
NPO法人「日本橋フレンド」と協働し、制作しました。
Nowadays
島民が憩い、来島者で賑わい、
島の笑顔が集まる場所に。
大島テラスは2018年8月11日にオープン。
以来、来島者や島の人たちで日々賑わいを見せています。
8月には約1200人もの人が島を訪れました。
最近では、八幡浜市内の人が
島のお母さんたちが作るランチを目当てに島を訪れたり、
漁を終えた漁師さんがビールで一息ついたり。
そして、夏祭りの時には島の人たちが大好きなカラオケ大会のステージになったり。
今ではそんな風景が日常となり、
島の人にとっても、島を訪れる人にとっても
大切な居場所となっています。